この記事では、トラネキサム酸について学習していきます。
風邪の処方でよく見かけることが多いのではないでしょうか。
皮膚科の処方でも見かけるこの薬、意外とマルチプレイヤー?
トラネキサム酸って何の薬?
トラネキサム酸は抗プラスミン剤に分類される止血剤です。
線溶系に関わる出血、咽頭痛・発赤・充血・腫脹、口内炎における口内痛等に用いられます。
また、蕁麻疹や薬疹、中毒疹などにも適応を持つため、幅広く使用されます。
適応外では肝斑に処方されることもあり、OTCとしても販売されているものがあります。(トランシーノ)
トラネキサム酸の作用機序について
プラスミンやプラスミノーゲンのフィブリンアフィニティー部位であるリジン結合部位と強く結合し、
プラスミンやプラスミノーゲンがフィブリンに結合するのを強く阻止します。
この機序により、プラスミンによるフィブリン分解が強く抑制される結果となり、止血作用を示します。
この作用機序の理解には、線溶系の理解が必須となります。
線溶系とは、言葉からも少しイメージができるように、血栓を溶かす流れのことを指します。
線維素(フィブリン)を溶解する、略して線溶と言うらしいです、初めて知った、、、!
血管の破れが血栓形成により元通りになったら、血栓は用済みとなります。
血栓を溶かすため、プラスミンがフィブリンに結合し、フィブリンが分解されることで溶解・除去されます。
この流れを理解しておくと、線溶系が亢進している場合の出血・異常出血、という添付文書の表現も
理解できると思います!
服用時の注意点・薬学ケア
トラネキサム酸には併用禁忌が存在します。
トロンビン投与中の患者に併用すると、血栓形成傾向が増大するため服用できません。
また、幅広い適応で服用される薬剤のため、他症状をマスキングする可能性も考慮する必要があります。
ex)コロナウイルス感染症に伴う咽頭痛をマスクし、感染発覚が遅れた
皮膚科疾患領域では漫然投与されやすい印象で、定期的な評価も必要と考えます。
まとめ
処方頻度の高いトラネキサム酸。
錠剤自体もかなり大きめのため、高齢者などへの処方では嚥下にも考慮する必要があります。
注意点もしっかり押さえて正しい服用指導に繋げていきましょう。
参考図書
治療薬マニュアル
NEW薬理学 改訂第7版